くまのこオンザロード

友人の会ったこともない元彼から定期的に丁寧なメールが来る。

 

お墓が決まりました。

先月末納骨しました。

 

場所は私が今まで一度も降り立ったことのない街で、墓石には英語で苗字が彫られていた。

 

なんだか見慣れない姿になったもんだ。大好きなヴィヴィアンの服はどこにやったんだよ。

 

一家のお墓をまず先に娘が使う、その為に購入するという気分、想像ができないし曖昧な言葉はかけられないなと思っていたらお父様の電話番号を聞いたまま半年以上が経ってしまった。

 

世の中1抜けたをした彼女、今こそあなたの言葉が欲しいのになー、ずるいなーと思う三連休中日の夜。一向に居なくなった感覚は無い。実感が無いからぴえーーーんと泣き叫ぶ事もない。ただもうメールは返ってこない。

 

思い出が走馬灯のように…とか立ち直れないくらい深い傷が…とかではなく、ただただ彼女と私の時間がどんどん開いていくことを実感する。そんなもんだと思っているだろうか貴女は。実感は無くとも打っても返らない声に、ぼんやりと行き場の無い思いばかり消化しきれずたまっていく。当初は知らない元彼から連絡が来ることすらも追いつかない現実をどかすか投げつけられているようで、待って待って!とむしろイライラすらしていたのだけど、大切な誰かが居なくなるという事実を受け止められないのはみんな一緒だもんな。とうっすらとした柔らかさを持ってやりとりが出来るようになった。

 

生きるわー、なんとなく。

彼女が得られなかった生を私が代わりに!!

なんてことは思わないけどある程度報告できるくらいには生活しておかなければな、と思う。

 

数少ない私にとっての大切な人がいない夏。

教えてもらったアイスコーヒーのレシピで過ごす夏。

 

そのうち挨拶に行くし、お父様にも電話する。

私は私の納得する方法で落とし込むしかないんだろうな、そう思う。

 

物体が無いだけでこうも違うものか。 何が気持ちの問題じゃ。物体が無かったら終わりじゃ。